木下惠介作品上映会 2021年度下半期(2021/10~2022/3)上映特集 木下惠介記念館開館20周年記念 「わたしと木下惠介の春夏秋冬」(秋の章・冬の章)

 木下惠介記念館2階にあるアートホールでは、毎月第3日曜日に、木下惠介の監督生涯の全作品49本から特集テーマにあわせて、上映会を開催しています。
 2021年は木下惠介記念館開館20周年という特別の節目を迎え、記念事業の一環として、昨年9月20日~12月20日の約3ヶ月間にわたり「わたしが好きな木下映画」投票アンケート箱を設置し来館の皆様に投票をしていただきました。上位にランキングした作品を2021年度の木下惠介映画上映会プログラムに取り込んでいます。
 今年度(2021年4月~2022年3月)の上映会特集では、『木下惠介記念館開館20周年記念 わたしと木下惠介の春夏秋冬』というテーマで、春夏秋冬の4つ季節を分けて、皆様による投票でランキング上位に入る12本の木下映画を選び、上映いたします。


特集『木下惠介記念館開館20周年記念 わたしと木下惠介の春夏秋冬』

 木下惠介監督は生涯に渡り、人々の強さ、弱さ、美しさ、醜さなど、喜びや悲しみの物語を通して「本当の人間」を描き続けました。人間の一生は、めぐりめぐる「春夏秋冬」とともにあります。木下映画の中にも、それぞれの季節性が秘められています。
 春―豊かな自然あふれる田舎の牧場に帰ってきたストリッパーの女の冒険
 夏―太陽がさんさんと照る小豆島の小学校を舞台にした先生と生徒の愛の物語
 秋―野菊が咲く中いとこ同士の男と女が語り合う切ない思い出
 冬―雪山に捨てられる母と置き去ることができない息子の葛藤…
 木下監督、そして私たちが思い浮かべる「春夏秋冬」をそれぞれの作品に見ることができます。木下惠介監督への尽きぬ想いは私たちの春夏秋冬に織り込まれ永遠に流れていきます。


~秋の章~

上映日 2021年10月17日(日)

【作品詳細】
『喜びも悲しみも幾歳月』
1957(昭和32)年、160分、カラー、スタンダード
監督・原作・脚本:木下惠介
撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、佐田啓二、田村高廣、中村嘉葎雄、有沢正子、桂木洋子

【あらすじ】
雑誌に掲載された灯台長の妻の手記にインスピレーションを得て作り上げた作品で、木下惠介監督の映画生涯を代表する大作のひとつである。巡り廻る四季を見守る灯台を転々としながら厳しい駐在生活を送る灯台守夫婦。その戦前から戦後に至る波瀾万丈の25年間を描く。辺地に点在する灯台でロケを敢行したが、その一つである御前埼灯台は、2021年5月に新たに国の重要文化財に指定されることになった。


上映日 2021年11月21日(日)

【作品詳細】
『野菊の如き君なりき』
1955(昭和30)年、92分、モノクロ、スタンダード
監督・脚色:木下惠介/原作:伊藤左千夫
撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:有田紀子、田中晋二、笠智衆、田村高廣、小林トシ子、杉村春子

【あらすじ】
歌人・伊藤左千夫の処女小説「野菊の墓」の映画化で木下惠介が脚色と監督を担当した。万物の凋む秋にしか咲かない野菊の絶えざる生命力を、愛し合う若い男女の美しく切ない感情に象徴させている。男女の主人公は芝居経験のない素人を大胆に起用し、作中の回想シーンでは、画面に白い楕円形の枠を登場させ、天才的な演出方法を試みた。その楕円の画面が観る私たちを、叙情的で純粋な世界へと誘い出してくれる。


上映日 2021年12月19日(日)

【作品詳細】
『日本の悲劇』
1953(昭和28)年、116分、モノクロ、スタンダード
監督・脚本:木下惠介
撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:望月優子、桂木洋子、田浦正巳、佐田啓二、高橋貞二、高杉早苗

【あらすじ】
第二次世界大戦の敗戦を受け、GHQによる占領期に民主化改造が進められ、価値観の激しい変容を余儀なくされる日本社会。その縮図のような親子の生活に焦点をあてた社会派作品である。戦争で夫を亡くした未亡人は、子供のために体を売るが、必死に隠そうとした過去の暗闇がばれ、親子関係が崩壊していく。木下映画に最も重要な要素である「民主主義」と「女性」を主題に、社会派女優として踏み出した望月優子が好演している。


~冬の章~

上映日 2022年1月16日(日)

【作品詳細】
『お嬢さん乾杯!』
1949(昭和24)年、89分、モノクロ、スタンダード
監督:木下惠介/脚本:新藤兼人
撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:佐野周二、原節子、佐田啓二、村瀬幸子、坂本武、東山千栄子

【あらすじ】
没落貴族のお嬢様と庶民出身の工場経営者、まるで違う世界の二人に縁談が舞い込む。階級の壁やお互いの身分の意識を乗り越えようとする恋情が、軽快なタッチで抽かれ、ロマンティックな雰囲気を醸し出す。戦後日本秩序の建て直しに伴う、従来の社会メカニズムの革新を象徴する作品でもある。木下惠介の最高のラブコメディとしてファンに愛されている。「永遠の処女」と呼ばれる女優・原節子が出演した唯一の木下映画である。


上映日 2022年2月20日(日)

【作品詳細】
『楢山節考』
1958(昭和33)年、98分、カラー、シネマスコープ
監督・脚色:木下惠介/原作:深沢七郎
撮影:楠田浩之/音楽:杵屋六左衛門、野澤松之輔
出演:田中絹代、高橋貞二、望月優子、市川團子(二代目市川猿翁)、宮口精二

【あらすじ】
42歳の深沢七郎が発表した処女作を、木下惠介監督が実験的な手法で映画化した。ロケを重視する従来の木下映画とは真逆で、オール・セットで撮影された。民間伝承の姥捨伝説を背景に、70歳になると楢山まいりの風習がある山奥の寒村に暮らす。69歳の母親とその息子を軸とした物語。全編を通じて、歌舞伎舞台の早替わりの手法が使われ、音楽は長唄や浄瑠璃が使われている。日本ならではの伝統的な様式美を取り入れた独特な一作。


上映日 2022年3月20日(日)

【作品詳細】
『父』
1988(昭和63)年、74分、カラー、ビスタサイズ
監督・脚本:木下惠介/原作:牧村裕
撮影:岡崎宏三/音楽:木下忠司
出演:板東英二、太地喜和子、野々村真、草野大悟、芦屋小雁、菅井きん

【あらすじ】
「父」と「母」をモチーフに作文を公募し、それに基づいて映画を作ろうという趣旨で、木下惠介が『父』を、門下の松山善三が『母』を手がけた。40歳を過ぎてもちゃらんぽらんで迷惑をかけてばかりの父と、そのドタバタ生活に振り回される家族の一連の人情喜劇を、ある種の純情さで完璧に表現した作品。生涯49本の傑作を世に送り出した木下惠介監督の遺作として、その虹色の映画人生をうまく総集した作品とも言える。


【開催情報】
上映日:各月第3日曜日
上映開始時刻:①10:00~(9:30開場)②14:00~(13:30開場)
会場:木下惠介記念館(浜松市旧浜松銀行協会)
入場料:100円
対象:小学生以上
主催:木下惠介記念館
お申し込み:不要。当日受付のみ。上映1時間前より受付開始します。


【関連企画】
特別展示 木下惠介記念館開館20周年記念 「わたしと木下惠介の春夏秋冬」

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会期:
[春の章・夏の章] 2021年4月3日(土)~2021年8月31日(火)【終了しました】
[秋の章・冬の章] 2021年9月18日(土)~2022年2月20日(日)
※9月1日(水)~9月17日(金)は入れ替えのため休室 

休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日にあたる平日開館日、施設点検日、年末年始
開館時間:9:00~17:00
会場:木下惠介記念館 特別展示室・第2展示室
観覧料:無料(常設展観覧料内でご覧いただけます。)


■ 満員の場合は、入場をお断りすることがあります。ご了承ください。
■ 公共交通機関をご利用ください。お車でお越しの際は近隣の有料駐車場を
  ご利用ください。
■ 栄町パーキングをご利用の方には、事務所にて駐車券に駐車料金割引の
  押印をいたします。
■ 浜松駅バスターミナル3番のりばより全路線「鴨江アートセンター」下車。