木下惠介作品上映会 2020年度下半期(2020/10~2021/3)上映特集『美しく闘う―木下映画の彼女たち』

 木下惠介記念館2階にあるアートホールでは、毎月第3日曜日に、木下惠介の監督生涯の全作品49本から特集テーマにあわせて、上映会を開催しています。
 今年度下半期(2020年10月~2021年3月)の上映会特集では、『美しく闘う―木下映画の彼女たち』というテーマで、6本の木下映画を選び、上映いたします。


特集『美しく闘う―木下映画の彼女たち』

 木下惠介監督は、日本社会における女性像をモチーフに物語を描くのが得意だと言われます。木下映画のカメラが映し出す彼女たちは、戦前戦後にわたる膨大な変革と発展を迎える時代に、それぞれの立場から、女性らしい強みで社会と闘っています。
 男女格差、階級問題、因習との葛藤などの社会問題の中に、フェミニズムやヒューマニズム的な要素が見えてきます。没落華族、人妻、亡霊、母親、ストリッパー、芸者…様々な性格を持つ彼女たちは、ただ映画の中に存在する記号のようなキャラクターではなく、私たちの日常生活の中にもその姿を見つけられるかもしれません。
 本特集では、木下作品の中でも特に、美しい彼女たちの闘いを語ってくれる6作品を上映いたします。


Ⓒ松竹 1964

【作品詳細】
『香華 第二部 三椏の章』
(1964年、116分、モノクロ、シネマスコープ)
監督・脚本:木下惠介 
原作:有吉佐和子 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
出演:岡田茉莉子、加藤剛、岡田英次、三木のり平、菅原文太、乙羽信子

【あらすじ】
有吉佐和子のベストセラー小説を原作とした文芸大作の後篇。
関東大震災を経て、旅館を開業した娘・朋子は、江崎との結婚だけを夢見ている。


Ⓒ松竹 1964

【作品詳細】
『香華 第一部 吾亦紅の章』
(1964年、88分、モノクロ、シネマスコープ)
監督・脚本:木下惠介 
原作:有吉佐和子 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
出演:岡田茉莉子、音羽信子、田中絹代、杉村春子、北村和夫、加藤剛

【あらすじ】
母と娘の愛憎が入り乱れた年代記。第一部・第二部あわせて3時間半を越える木下惠介最長の作品の前篇。芸者として一本立ちした娘・朋子は、士官学校の生徒・江崎と恋に落ちる。


Ⓒ松竹 1951

【作品詳細】
『カルメン故郷に帰る』
(1951年、86分、カラー、スタンダード)
監督・脚本:木下惠介
撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司、黛敏郎
出演:高峰秀子、佐野周二、笠智衆、井川邦子、佐田啓二、小林トシ子
※第6回毎日映画コンクール脚本賞

【あらすじ】
西洋文化の自由を象徴するストリッパーとしてのプライドを賭け、芸術家と名乗り、保守的な故郷の村へ里帰りし闘う女性を高峰秀子が演じます。日本初のカラー映画としても話題を呼んだ作品です。


Ⓒ松竹 1949

【作品詳細】
『お嬢さん乾杯!』
(1949年、89分、モノクロ、スタンダード)
監督:木下惠介
脚本:新藤兼人 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
出演:佐野周治、原節子、東山千栄子、佐田啓二、坂本武、村瀬幸子

【あらすじ】
戦後没落した華族の令嬢が抱える様々な事情と葛藤しながらも、望まない交際は始まっていく。木下惠介映画唯一の原節子の出演作。2020年は原節子の生誕100年でした。


Ⓒ松竹 1953

【作品詳細】
『日本の悲劇』
(1953年、116分、モノクロ、スタンダード)
監督・脚本:木下惠介
撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 編集:杉原よ志 
出演:望月優子、桂木洋子、田浦正巳、佐田啓二、上原謙、淡路恵子
第8回毎日映画コンクール脚本賞、第4回ブルーリボン賞脚本賞

【あらすじ】
戦争未亡人になった母親が、貧困の中、生きがいだった子供たちに裏切られ絶望の窮地に陥る悲劇のラストシーン。崩れゆく倫理観と闘う女性を望月優子が演じます。


Ⓒ松竹 1961

【作品詳細】
『永遠の人』
(1961年、107分、モノクロ、シネマスコープ)
監督・脚本:木下惠介 
撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
フラメンコギター:ホセ勝田 唄:宇井あきら 
出演:高峰秀子、佐田啓二、仲代達矢、乙羽信子、石濱朗、田村正和、東野英治郎
第34回アカデミー賞外国語作品賞ノミネート、1961年度キネマ旬報ベスト・テン第3位

【あらすじ】
地主の息子に犯され意に反して結婚した夫を憎み、自らの一生を賭けて不条理な運命と闘う女性を高峰秀子が演じます。第34回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされました。


Ⓒ松竹 1949

【作品詳細】
『新釈四谷怪談』
(1949年、158分[前・後篇]、モノクロ、スタンダード)
監督:木下惠介
原作:鶴屋南北 脚色:久坂栄二郎
撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
出演:田中絹代、上原謙、山根壽子、杉村春子、滝沢修、宇野重吉、佐田啓二

【あらすじ】
夫に毒殺され、亡霊となって冤罪を晴らすために闘う女性を田中絹代が演じます。『東海道四谷怪談』から木下惠介独自の解釈で作られた修羅場が見どころの『新釈四谷怪談』です。


【開催情報】
上映日:各月第3日曜日 ※10月17日(土)は2020年3月『香華 二部 三椏の章』延期に伴う特別上映
上映開始時刻:①10:00~(9:30開場)②14:00~(13:30開場)
会場:木下惠介記念館・アートホール
入場料:100円
対象:小学生以上
お申し込み:不要。当日受付のみ。上映1時間前より受付開始します。

■ 満員の場合は、入場をお断りすることがあります。ご了承ください。
■ 公共交通機関をご利用ください。お車でお越しの際は近隣の有料駐車場を
  ご利用ください。
■ 栄町パーキングをご利用の方には、事務所にて駐車券に駐車料金割引の
  押印をいたします。
■ 浜松駅バスターミナル3番のりばより全路線「鴨江アートセンター」下車。