【終了しました】2021/6/27(日) 講演会『木下惠介と母性』

 木下惠介監督は、日本社会における女性像をモチーフに物語を描くのが得意だと言われます。なかでも、「母」が重要な役割を担って描かれる作品を多く制作しました。

 『陸軍』のラストシーンでは戦場に赴く子どもを悲しくも力強く見送る母を、『笛吹川』では、子どもの命を何よりも大切に思い、出世のため戦に向かう子どもを連れ戻そうとする母を登場させ、母の偉大さを賛美する作品を手がけました。その一方で、『日本の悲劇』に見られる子どもに嫌悪される母や、『楢山節考』に見られる子どもに捨てられる母、『香華』に見られる子どもの幸せを邪魔する母など、それぞれ異なる、母らしくない「母」も表現しました。

『陸軍』©1944
『笛吹川』©1960
『日本の悲劇』©1953
『楢山節考』©1958
『香華』©1964

 実際の私生活では、幼少期から可愛がられて育った木下は母・たまとの関係が深く、母への恋慕は様々な研究や論考で指摘されてきました。

木下惠介の母・たま

今回の講演会は、ジェンダーを中心に日本映画を研究する映画研究者の木下千花氏をお迎えし、「母性」という切り口から木下映画を語る試みです。



【開催概要】
日時:6月27日(日)14:00~16:00
会場:木下惠介記念館・アートホール
対象:中学生以上
定員:30名(先着順)
参加料:500円
主催:木下惠介記念館(浜松市旧浜松銀行協会)


【講師】
木下千花(きのした・ちか) 
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。

専門は日本映画史、表象文化論。2007年にシカゴ大学大学院で博士号(映画メディア学・東アジア言語文明学)を取得し、ウェスタン・オンタリオ大学(カナダ)、静岡文化芸術大学、首都大学東京(当時)で映画を教える。著書『溝口健二論——映画の美学と政治学』(法政大学出版局、2016年)により芸術選奨新人賞、表象文化論学会学会賞を受賞。ジェンダー/セクシュアリティと映画、妊娠・中絶・出産の視覚文化、検閲と自主規制などのテーマで日本語・英語の論文多数。商業誌での最近の論考として、「母の褒め殺し——現代日本映画における“毒母”など」(『世界』2021年6月号)がある。


【応募方法】          
“日時、講座名を明記の上、氏名、ふりがな、電話番号、学年(学生の場合)、お申し込みのきっかけ”を添えて、Eメールまたは電話で木下惠介記念館までお申し込みください。