木下惠介作品上映会 2024年度下半期(2024/10~2025/3)上映特集「二重の瞳(Double Eyes):木下惠介と高峰秀子」

特集「二重の瞳(Double Eyes):木下惠介と高峰秀子」

2024年、女優の高峰秀子は生誕100周年を迎えました。高峰は天才子役から大女優へ成長し、戦前から戦後の半世紀にわたって300余本の映画に出演し、木下惠介作品12本に出演しました。日本初のカラー映画『カルメン故郷に帰る』から、女優引退作である『衝動殺人 息子よ』まで、高峰の波乱万丈の女優人生を回顧することができる名作の数々は木下映画において実現したと言えます。
本特集のタイトル「二重の瞳(Double Eyes)」は、木下惠介と高峰秀子の両者ともに代表作として数えられる『二十四の瞳』にちなんで名付けました。この特集では、高峰という女優の演技力を自らの作品で発揮させる監督・木下惠介の瞳と、木下という監督の意図を自らの解釈で演じる女優・高峰秀子の瞳に重ね合わせた6本の作品を年代順に紹介します。


©1951 松竹

上映日 10月20日(日)

『カルメン故郷に帰る』

1951(昭和26)年、86分、カラー、スタンダード

監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司、黛敏郎
出演:高峰秀子、小林トシ子、井川邦子、佐野周二、佐田啓二、笠智衆

【あらすじ】
高峰秀子が出演した最初の木下映画であり、日本初のカラー映画。東京でストリッパーをしているカルメンは、故郷に錦を飾るべく帰ってくるが、村民たちにインチキ芸術家として嘲笑され、名誉挽回のために村で「裸踊り」の公演を決定した。黛敏郎の作曲で高峰が歌う同名主題歌が戦後の軽やかさと共に解放感を引き出す。

1951年度キネマ旬報ベスト・テン第4位、第6回毎日映画コンクール脚本賞


©1952 松竹

上映日 11月17日(日)

『カルメン純情す』

1952(昭和27)年、103分、モノクロ、スタンダード

監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司、黛敏郎
出演:高峰秀子、若原雅夫、淡島千景、小林トシ子、三好栄子、東山千栄子

【あらすじ】
高峰秀子の誘いでフランスに遊学した木下惠介の帰国後第一作。『カルメン故郷に帰る』の続編として、故郷から東京に戻ってきたストリッパーのカルメンと、エゴイストの前衛芸術家との恋を中心に、当時の世相を盛り込んだ風刺コメディー。カメラを傾けて撮影したり、前衛的な衣裳や音楽などを大胆に取り入れるなどしている。

1952年度キネマ旬報ベスト・テン第5位


©1954 松竹

上映日 12月15日(日)

『二十四の瞳』

1954(昭和29)年、156分、モノクロ、スタンダード

監督・脚色:木下惠介/原作:壺井栄/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高廣、笠智衆

【あらすじ】
高峰秀子と木下惠介の両者共に代表作として挙げられる、日本映画史に輝く不朽の名作。壺井栄の同名小説を映画化した本作では、穏やかな瀬戸内海に浮かぶ小豆島を舞台に、小学校の女教師と12人の生徒たちの師弟愛が戦前から戦後にかけての年代記的に綴られる。この物語は、今でも世界中の映画ファンに感動を届けている。

1954年度キネマ旬報ベスト・テン第1位、第9回毎日映画コンクール日本映画大賞、第12回ゴールデングローブ賞外国語映画賞


©1957 松竹

上映日 1月19日(日)

『喜びも悲しみも幾歳月』

1957(昭和32)年、160分、カラー、スタンダード

監督・原作・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、佐田啓二、田村高廣、中村嘉葎雄、有沢正子、桂木洋子

【あらすじ】
高峰秀子と佐田啓二が演じる麗しき夫婦愛を描いた名作。灯台長の妻の手記にインスピレーションを得て作り上げた本作は、若山彰による同名主題歌と共に大ヒットし、木下惠介の代表作の一つとなった。日本全土に点在する灯台を転々としながら、孤独な駐在生活を送る灯台守夫婦の戦前から戦後に至る波瀾万丈の25年間を描く。

1957年度キネマ旬報ベスト・テン第3位、第12回毎日映画コンクール女優主演賞(高峰秀子)


©1961 松竹

上映日 2月16日(日)

『永遠の人』

1961(昭和36)年、107分、モノクロ、シネマスコープ

監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、佐田啓二、仲代達矢、乙羽信子、石濱朗、田村正和

【あらすじ】
高峰秀子の抜群な演技力が脚光を浴び、米国アカデミー賞にノミネートされた注目作。九州・阿蘇の大自然に囲まれた田舎を舞台に、夫を憎み、自らの一生を賭けて不条理な運命と闘う女性を高峰が好演する。木下惠介が得意とする年代記であり、5幕構成。四半世紀にわたる夫婦の愛憎をフラメンコのリズムに乗せて描いた。

1961年度キネマ旬報ベスト・テン第3位、第34回アカデミー賞外国語作品賞ノミネート、第16回毎日映画コンクール女優主演賞(高峰秀子)


©1979 松竹

上映日 3月16日(日)

『衝動殺人 息子よ』

1979(昭和54)年、130分、カラー、ビスタサイズ

監督:木下惠介/原作:佐藤秀郎/脚本:木下惠介、砂田量爾/撮影:岡崎宏三/音楽:木下忠司
出演:若山富三郎、高峰秀子、田中健、大竹しのぶ、尾籐イサオ、高岡健二

【あらすじ】
高峰秀子の女優引退作。ノンフィクション作家の佐藤秀郎による原作をテレビ業界に転身していた木下惠介が異例の映画化。不良少年に刺されて死んだひとり息子のために、遺族の補償制度を国に訴えかける父親を描く。辛抱強く影で支える母親を演じる高峰は、本作をもって約50年にわたる華麗なる女優人生に幕をおろした。

1979年度キネマ旬報ベスト・テン第5位


【開催情報】
上映日:各月第3日曜日
上映開始時刻:①10:00~(9:30開場)②14:00~(13:30開場)
会場:木下惠介記念館・アートホール
入場料:100円
対象:小学生以上
主催:木下惠介記念館 (浜松市旧浜松銀行協会)
お申し込み:不要。当日受付のみ。上映1時間前より受付開始します。


■ 公共交通機関をご利用ください。お車でお越しの際は近隣の有料駐車場をご利用ください。
■ 浜松駅バスターミナル3番のりばより全路線「鴨江アートセンター」下車。