【終了しました】木下惠介作品上映会 2023年度下半期(2023/10~2024/3)上映特集「木下惠介映画にみる地理学」

特集「木下惠介映画にみる地理学」

北海道、瀬戸内海、九州、スリランカ・・・日本国内に留まらず、木下惠介監督は映画のロケ地を様々な地に求めていきました。そして、それぞれの地域が持つ独自の風景や文化や歴史を自身の映画創作に融合させ、そこで展開する物語には、その地域ならではの独特な気質が織り込まれました。長崎県長崎市で原子爆弾の投下により妻を亡くした放射線医学博士の怒りと哀しみ、福島県会津若松市で育ち久々に帰省した大学生と友人たちの悩みと戸惑い、岐阜県高山市に休暇で帰省した男性と未亡人となった幼馴染の間に再燃した恋心と迷走・・・本特集では、東北から九州の地で展開する6本の木下惠介映画を選び、地域と映画の新たな関係性と可能性を問いかけ、木下惠介監督ならではの地理学的な考え方を提示していきたいと思います。


©1948 松竹

上映日 10月15日(日)

『破戒』(長野県飯山市)

1948(昭和23)年、99分、モノクロ、スタンダード

監督:木下惠介/脚本:久板栄二郎/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:池部良、桂木洋子、滝沢修、宇野重吉、山内明、薄田研二

【あらすじ】
飯山市にある小学校を舞台に展開する部落差別問題をテーマに扱う青春映画。自然主義文学の先駆けとなった島崎藤村の同名小説を、木下惠介が原作を読まずに独自の視点で演出した作品。美しくも閉鎖的な信州を背景に被差別部落出身の青年教師・丑松が苦悩と憧れの間を揺れる姿を描く。本作は松竹の東西撮影所交流により京都撮影所での木下惠介の監督1作目にあたる。

1948年度キネマ旬報ベスト・テン第6位/第3回毎日映画コンクール監督賞


©1958 松竹

上映日 11月19日(日)

『この天の虹』(福岡県北九州市)

1958(昭和33)年、106分、カラー、シネマスコープ

監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高橋貞二、久我美子、田村高廣、大木実、田中絹代、川津祐介、笠智衆

【あらすじ】
北九州市にある八幡製鉄所(現・日本製鉄株式会社)を舞台に、そこで働いている人々の人生を描く群像劇。日本を代表する工業都市に成長した北九州市で、明治時代に操業を開始した官営八幡製鉄所をはじめとする、工場から立ち上る七色の煙は全国から集まってきた若者の明るい未来の象徴とされていた。高度経済成長期に突入する日本人の力強い姿が誠実に表現された。


©1983 松竹

上映日 12月17日(日)

『この子を残して』(長崎県長崎市)

1983(昭和58)年、128分、カラー、ビスタサイズ

監督:木下惠介/原作:永井隆/脚色:木下惠介、山田太一/撮影:岡崎宏三/音楽:木下忠司
出演:加藤剛、十朱幸代、大竹しのぶ、麻丘めぐみ、山口崇、淡島千景

【あらすじ】
長崎市への原子爆弾投下を舞台に、医学博士で随筆家の永井隆が自分の体験を基に描いた手記を木下惠介が映画化したヒューマンドラマ。永井は妻を亡くし、自らも被爆した身でありながら、子供のために記録を執筆し始めたが・・・長崎原爆を扱った数少ない作品の一つとして、反戦主義を貫いてきた木下惠介の凛々しい眼差しが垣間見える。


©1951 松竹

上映日 1月21日(日)

『海の花火』(佐賀県唐津市)

1951(昭和26)年、122分、モノクロ、スタンダード

監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:木暮実千代、桂木洋子、笠智衆、山田五十鈴、東山千栄子、三國連太郎

【あらすじ】
唐津市にある呼子港を舞台にした、漁業者たちを巡る群衆劇。漁業組合長・神谷は不正が疑われる二人の船長を解雇し、若く有能な兄弟に任せるが、赤字は解消されず、さらに元船長の業務妨害や、漁港の減船政策など苦境に立たされてしまう・・・九州有数の港湾都市・唐津に生きる人々と海との深い絆を木下惠介の演出によって見事に可視化させている。


©1959 松竹

上映日 2月18日(日)

『惜春鳥』(福島県会津若松市)

1959(昭和34)年、102分、カラー、シネマスコープ

監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:津川雅彦、石濱朗、川津祐介、小坂一也、山本豊三、有馬稲子、佐田啓二

【あらすじ】
会津若松市を舞台に友情の美しさを描いた青春映画。東京の大学に進学した岩垣が久々に帰省し、境遇の違う仲間4人と再会したが、それぞれ人生の苦悩を抱えている・・・その青年らと会津藩の藩士子弟により結成された「白虎隊」をダブらせながら、純粋で情熱的な感情を際立たせる。昭和の名優と呼ばれる津川雅彦が出演した唯一の木下映画。


©1955 松竹

上映日 3月17日(日)

『遠い雲』(岐阜県高山市)

1955(昭和30)年、99分、モノクロ、スタンダード

監督:木下惠介/脚本:木下惠介、松山善三/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、佐田啓二、高橋貞二、田村高廣、石濱朗、田浦正巳

【あらすじ】
高山市を舞台に繰り広げられる、静謐で美しいラブストーリー。休暇で故郷に帰省した圭三は、幼馴染で未亡人となった冬子と再会。昔の思い出がよみがえり、恋を再燃させていく。古い時代の街並みが完璧に保存されている飛騨高山に、遠い雲と青い空と淡々とした恋心が漂っている。2024年、高峰秀子は生誕100周年を迎える。

第10回毎日映画コンクール撮影賞(楠田浩之)/第6回ブルーリボン賞撮影賞(楠田浩之)


【開催情報】
上映日:各月第3日曜日
上映開始時刻:①10:00~(9:30開場)②14:00~(13:30開場)
会場:木下惠介記念館・アートホール
入場料:100円
対象:小学生以上
主催:木下惠介記念館 (浜松市旧浜松銀行協会)
お申し込み:不要。当日受付のみ。上映1時間前より受付開始します。


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