木下惠介作品上映会 2022年度下半期(2022/10~2023/3)上映特集「木下惠介と戦場の固き約束」

特集「木下惠介と戦場の固き約束」

生涯49本の映画を世に送り出した木下惠介監督は2022年に生誕110周年を迎えます。戦前に生まれ、中国の戦場での実体験は戦後の木下映画の原点の一つになったとも言えます。木下惠介は戦争に対する複雑な心境を描いた50本目の作品『戦場の固き約束』を計画しながら未完成のまま他界してしまいました。「幻の名作」と呼ばれるこの作品を観ることはもうできませんが、そのタイトルと残されたシナリオから木下映画に重要なテーマである「戦争」、そして「約束」への想いが想像できます。本特集は木下惠介の全49本の作品の中から、戦争に対する様々な想いが込められた6本の傑作を選びました。プロパガンダの国策映画、戦時下の庶民の日常を描いた物語、疎開地の人々の苦難と希望に焦点を当てた作品、戦争によってばらばらになった家族の強い絆が伝わってくる作品等、この特集を通じて木下惠介と未完に終わった「戦場の固き約束」がどんな映像になったか想像していただきたいと思います。


©1943 松竹

上映日 10月16日(日)

【作品詳細】
『生きてゐる孫六』
1943(昭和18)年 、89分、モノクロ、スタンダード
監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之
出演:上原謙、吉川満子、細川俊夫、山鳩くるみ、原保美、河村黎吉

【あらすじ】
かつて武田信玄軍と徳川家康軍の両軍が戦った三方ヶ原の土地を所有する名家に伝わる名刀「関の孫六」。木下惠介の故郷・浜松の三方ヶ原を舞台に、名刀「孫六」を取り巻く人々の思惑を描いた群像劇コメディ。冒頭の戦国時代の合戦と昭和戦中の軍隊演習の場面の対比により、国策映画の特徴が見えてくる。2022年は三方ヶ原の合戦450周年に当たる。


©1944 松竹

上映日 11月20日(日)

【作品詳細】
『歓呼の町』
1944(昭和19)年、73分、モノクロ、スタンダード
監督:木下惠介/脚本:森本薫/撮影:楠田浩之
出演:上原謙、水戸光子、東野英治郎、信千代、小堀誠、飯田蝶子

【あらすじ】
戦時下、人々が次々と強制疎開させられていく東京の下町の一角に、様々な事情で東京を離れられずにいた四家族がいた。その中に、失踪した夫の帰りを待ち続ける妻と息子がいて、やがて夫は町に帰ってきた。森本薫のオリジナル脚本により、疎開促進の国策映画として制作された群像劇。公開時は「勇ましさに欠ける」とクレームが入ったが、木下映画の反戦主義を感じられる一作である。


©1944 松竹

上映日 12月18日(日)

【作品詳細】
『陸軍』
1944(昭和19)年、87分、モノクロ、スタンダード
監督:木下惠介/原作:火野葦平/脚色:池田忠雄/撮影:武富善男
出演:笠智衆、田中絹代、東野英治郎、上原謙、三津田健、杉村春子

【あらすじ】
幕末から昭和にかけて日本陸軍に身を捧げてきた一家の三代記。火野葦平の同名小説を原作に、陸軍省の依頼で制作され、木下惠介が戦中に撮った最後の国策映画。日本映画史上の名場面である出征する息子を母が追い続けるラストシーンは反戦主義の意識が強く反映されたため、「女々しい」とクレームをつけられ、次回作の企画をキャンセルされた木下は松竹に辞表を出した。


©1946 松竹

上映日 2023年1月15日(日)

【作品詳細】
『大曾根家の朝』
1946(昭和21)年、81分、モノクロ、スタンダード
監督:木下惠介/脚本:久板栄二郎/撮影:楠田浩之/音楽:浅井挙瞱
出演:杉村春子、小澤栄太郎、三浦光子、増田順二、東野英治郎、長尾敏之助

【あらすじ】
大曽根家は裕福な家庭だったが、戦時下の波に翻弄されていく中、軍人の叔父夫婦が乗り込んで我が物顔で暮らし始める……。久坂栄二郎の脚本を得て、戦後初の木下惠介監督作品として、GHQの民主化政策に沿いつつ、戦争と軍国主義を批判する反戦映画として制作された本作は、民主主義の到来を迎え、木下惠介の戦後の大きな飛躍へと繋がっていく。


©1951 松竹

上映日 2023年2月29日(日)

【作品詳細】
『少年期』
1951(昭和26)年、111分、モノクロ、スタンダード
監督・脚色:木下惠介/原作:波多野勤子/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:田村秋子、石濱朗、笠智衆、三國連太郎、小林トシ子、櫻むつ子

【あらすじ】
戦時中諏訪に疎開した知識人一家を描いた作品。心理学者・波多野勤子と思春期の息子の往復書簡をまとめた同名ベストセラーを原作に、女性脚本家の田中澄江のアレンジと木下惠介の演出で、邦画各社による原作権の争奪戦をクリアし制作された。5000人のオーディションから抜擢された石濱朗は、軍国主義に翻弄されながらも母に揺るぎなき愛を注ぎ続ける少年の純粋なる美を演じた。


©1963 松竹

上映日 2023年3月29日(日)

【作品詳細】
『死闘の伝説』
1963(昭和38)年、83分、モノクロ(一部カラー)、シネマスコープ
監督・脚本・製作:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:岩下志麻、加賀まりこ、加藤剛、田中絹代、加藤嘉、菅原文太

【あらすじ】
戦時下、北海道に疎開してきた園部家の娘・黄枝子に、村長の息子・剛一との縁談が持ち上がる。しかし大陸戦線での剛一の残虐行為を目撃した長男・秀行は縁談を断ったため、村中の園部家迫害が始まった。太平洋戦争末期、戦争は戦時だけでなく戦後まで狂気をもたらしてしまうという悲劇的顛末を描いたバイオレンス映画。音楽は弟・木下忠司でアイヌの民族楽器ムックリを用いてサスペンスを盛り上げる。


【開催情報】
上映日:各月第3日曜日
上映開始時刻:①10:00~(9:30開場)②14:00~(13:30開場)
会場:木下惠介記念館・アートホール
入場料:100円
対象:小学生以上
主催:木下惠介記念館 (浜松市旧浜松銀行協会)
お申し込み:不要。当日受付のみ。上映1時間前より受付開始します。


■ 満員の場合は、入場をお断りすることがあります。ご了承ください。
■ 公共交通機関をご利用ください。お車でお越しの際は近隣の有料駐車場を
  ご利用ください。
■ 栄町パーキングをご利用の方には、事務所にて駐車券に駐車料金割引の
  押印をいたします。
■ 浜松駅バスターミナル3番のりばより全路線「鴨江アートセンター」下車。