2025/12/13(土) 田中絹代監督作品『乳房よ永遠なれ』特別上映会&講演会「フェミニスト映画のパイオニア・田中絹代」
12月は映画監督・木下惠介の生没月です。2025年度は、木下惠介最も信頼する映画人の一人で、俳優及び映画監督として活躍した田中絹代の監督作品『乳房よ永遠なれ』(1955年)を特別上映します。
田中絹代(1909-77)は、日本映画の黎明期に映画俳優としてデビューし、サイレントからトーキーへの映画産業の変化、そして戦中戦後の社会の激動の時代の日本映画界を支えました。木下惠介作品でも、『陸軍』(1944年)や『楢山節考』(1958年)に出演するなど、作品の評価に田中の演技による貢献が大きく影響しています。
そんな田中絹代は、1953年に丹羽文雄原作小説を木下惠介が脚色した映画『恋文』で監督デビューし、日本で史上二人目の女性映画監督になりました(一人目は坂根田鶴子)。2021年にカンヌ国際映画祭・クラシック部門で監督第2作『月は上りぬ』(1955)がデジタル復元版で上映されたことを皮切りに、リヨン・リュミエール映画祭や東京国際映画祭など多くの映画祭で特集され、世界の映画史においても女性映画監督のパイオニアとして近年再評価されています。


-1024x739.jpg)
なかでも、田中絹代の監督作品3作目であり、夭折の歌人・中城ふみ子の歌集を映画化した『乳房よ永遠なれ』(1955年)は、女性芸術家の人生、病に侵される身体、性の欲望など、それまで描かれることのなかった視点を描き、フェミニスト映画の先駆けとなっています。また、監督作1作目と2作目で木下惠介と小津安二郎から脚本提供を受けた田中が、初めて女性脚本家である田中澄江と協働した作品です。
上映後には、フェミニスト映画批評の専門家の斉藤綾子氏(明治学院大学教授)を招き、田中絹代の監督作における作家性、また日本や海外におけるフェミニスト映画史の中の本作の評価について語っていただきます。
【開催概要】
・日時:2025年12月13日(土)13:30~17:00(13:00~受付開始)
・会場:木下惠介記念館 アートホール
・対象:中学生以上
・定員:40名(先着順)
・参加料:500円
・主催:木下惠介記念館(浜松市旧浜松銀行協会)
【プログラム】
13:00-13:30 受付開始・開場(30分)
13:35-15:25 映画『乳房よ永遠なれ』上映(110分)
15:25-15:35 休憩(10分)
15:35-16:35 講演会「フェミニスト映画のパイオニア・田中絹代」
講師:斉藤綾子(明治学院大学教授)
16:35-17:00 質疑応答
17:00 終了
-1024x734.jpg)
【上映作品】
『乳房よ永遠なれ』
(1955年(昭和30年)/110分/モノクロ、スタンダード)
監督:田中絹代、脚本:田中澄江、撮影:藤岡粂信、音楽:斎藤高順、編集:中村正
出演:月丘夢路、葉山良二、森雅之
身勝手な夫との別れ、乳がんの発症など困難な状況に直面しながらも短歌を作り続け、ひたむきに生きる女性歌人の姿を描く。夭折の歌人・中城ふみ子の歌集に惚れ込んだ田中絹代が監督第3作として、田中澄江の脚本をもとに映画化。1955年に松竹から移籍した月丘は、乳がん手術で乳房を失った女性の欲望や感情の機微を見事に演じている。
(ブルーレイ上映)

【講師】斉藤 綾子
明治学院大学文学部芸術学科教授。カリフォルニア大学ロサンゼルス校博士(映画学)。専門は映画理論、フェミニズム映画論。ヒッチコック論、ファスビンダー論、戦後日本映画のジェンダー+セクシュアリティ論、女優論、女性監督に関する論文やエッセイを執筆。編著書に『映画と身体/性』(森話社)、『映画女優 若尾文子』(みすず書房)、『映画の政治学』(青土社、2003)、『男たちの絆、アジア映画』(平凡社)、 『戦う女たち』(作品社)、『横断する映画と文学』(森話社)、『ドライブ・マイ・カー論』(慶應大学出版会)、『新派映画の系譜学』(上田・小川編、森話社)など。『ふぇみん』で映画評を担当。
【申込方法】
2025年10月20日(月)9:00~予約受付開始
お申し込みにあたり必要事項をご連絡ください。メール、電話、窓口にて承ります。
・「2025/12/13(土)田中絹代監督作品『乳房よ永遠なれ』特別上映会&講演会」
・参加者の氏名、よみがな
・電話番号
・学年(高校生以下の場合)
木下惠介記念館(浜松市旧浜松銀行協会)
静岡県浜松市中央区栄町3番地の1
窓口:9:00~17:00(休館日あり)
TEL:053-457-3450 E-mail:k.m.m@keisukemuseum.org
関連企画:木下惠介記念館映画上映会 2025年度下半期(2025/10~2026/3)上映特集「田中絹代よ永遠なれ」


- 特別上映に関して、他の方の鑑賞の妨げになる場合は退出をお願いすることがあります。
- 会場内の写真が木下惠介記念館のウェブサイト、SNSなどに掲載されることがあります。
- 諸般の事情により、開催形態を変更することがあります。予めご了承ください。
■ 公共交通機関をご利用ください。お車でお越しの際は近隣の有料駐車場をご利用ください。
■ 浜松駅バスターミナル3番のりばより全路線「鴨江アートセンター」下車。