2025/8/30(土)特別上映『なつかしき笛や太鼓』&講演会「木下惠介が映画に託した信念—離島教員の手記より」

木下惠介は、しばしば撮影所を抜け出し、北は北海道、南は九州、時には海外にまで足を延ばして、各地でロケーション撮影を行いました。そして、旅に出かけては、その地域の人々と交流し、風土や歴史、文化に触れながら映画を製作することを愛する映画監督でした。とりわけ、瀬戸内海の豊かな自然と海の景色、島の人々の生活風景は、木下監督を魅了し、自身の名作を生み出す礎となったこの土地への感謝を持ち続けました。

『なつかしき笛や太鼓』は、香川県内で最も小さな離島・小手島(丸亀市)を舞台に、島の生徒たちをバレーボール地区大会で優勝へと導いた新米教師の実話に基づいて、木下がオリジナル脚本を執筆し、監督した作品です。2025年1月には、本作で夏木陽介演じる主人公の教師のモデルとなった故・玉井正明氏が残した当時の詳細な手記を元に、ご子息の康之氏が編纂した『木下惠介監督映画「なつかしき笛や太鼓」の舞台裏』(北樹出版)が出版されました。これを記念し、『なつかしき笛や太鼓』の特別上映と、玉井康之氏を迎えた講演会を開催します。

本企画では、個人の残した記録を糸口として、木下惠介の創作の軌跡をたどり、監督がこだわった「庶民の生活へのまなざし」をどのような視点で紡いだのかをさぐる機会となれば幸いです。


©1967 TOHO CO., LTD

【上映作品】

『なつかしき笛や太鼓』

(1967年、カラー、114分)

製作・監督・脚本: 木下惠介/撮影:楠田浩之/照明:下村一夫/音楽:木下忠司/編集:杉原よ志

出演:夏木陽介、大空真弓、浦辺粂子、小坂一也、藤原釜足、谷口完

●1967年度キネマ旬報ベスト・テン第9位

【あらすじ】

松竹を退社した木下惠介が木下プロを設立後、初めて監督した映画作品。

小島の中学生たちが、熱心な教師の指導の下バレーボールの練習に打ち込み大会にのぞむ。

本作は、1959年8月に実際に起きた香川県中学校バレーボール大会(女子)での小手島中学校の優勝秘話を元にしており、木下監督は当時新米教師であった玉井正明氏の経験を元に、映画の脚本を執筆し、監督しました。

©1967 TOHO CO., LTD
©1967 TOHO CO., LTD
©1967 TOHO CO., LTD

【開催概要】

・日時:2025年8月30日(土)13:30~17:00(13:00~受付開始)
・会場:木下惠介記念館 アートホール
・対象:中学生以上
・定員:50名(先着順)
・参加料:100円
・主催:木下惠介記念館(浜松市旧浜松銀行協会)


【プログラム】

13:30 イベント開始

13:35~15:30 特別上映『なつかしき笛や太鼓』(114分)

15:30~15:40 休憩

15:40~17:00 『木下惠介監督映画「なつかしき笛や太鼓」の舞台裏』出版記念トークイベント
          ・トークゲスト:玉井康之(北海道教育大学副学長・教育学博士)

17:00 イベント終了


『木下惠介監督映画「なつかしき笛や太鼓」の舞台裏』
(玉井正明・玉井康之著、北樹出版、2025年

1967年公開の「なつかしき笛や太鼓」は、1964年に木下が映画からテレビドラマの世界に主な制作の場を移してから3年ぶりの映画作品です。その「原作」とも呼べる故・玉井氏の手記を元に長男・康之氏が編纂した『木下惠介監督映画「なつかしき笛や太鼓」の舞台裏』には、物語のモデルとなった1959年の小手島中学校の香川県女子バレーボール大会優勝秘話と共に、木下惠介が島に正明氏の取材に訪れた際に監督が目にした島の生活環境、風俗、伝統文化などに至るまでが記録されています。

《抽選プレゼント》
トークゲストの玉井康之氏より、抽選で本著を贈呈いたします。抽選申込を希望する方は、申込時に「本の抽選申込を希望します」とお伝えください。


【著者】故・玉井正明(2024年1月17日没)

立命館大学卒業。1967年公開の木下惠介監督映画「なつかしき笛や太鼓」のモデルとなった離島の新卒教師。香川県丸亀市の小さな離島・小手島中学校のバレーボール部監督で、1959年にバレーボール香川県大会で優勝に導いた。
小手島中学校は、環境も劣悪な小規模校で、その前年度までは毎年ビリケツで、生徒達は全く自信を無くしていた。新卒教師である玉井正明はそんな状況を変えるため「一つ勝つ」ことを目標に、勝って生徒の自信をつけさせようとした。結果的に「一つ勝つ」ことを達成したが、その自信で生徒達の最後まで諦めない心を高め、県大会までの優勝を果たさせた。
玉井は、今から65年前の学校や地域の状況と木下監督との出会いを詳細に記録しており、それを改めて出版しようとしたが、出版直前の2024年に他界した。それを長男の玉井康之が引き継いで、2025年に『木下惠介監督映画「なつかしき笛や太鼓」の舞台裏』を刊行した。

【トークゲスト/著者】玉井康之

北海道教育大学副学長。教育学博士。1959年香川県丸亀市生まれ。地域教育・教師教育が専門で、へき地・小規模校教育研究センター長。父・正明の木下惠介監督との出会いの記録は、高度経済成長期の学校や地域の様子を捉える貴重な記録であると判断して、玉井正明の取り組みを引き継いで出版することとした。


        

【申込方法】

募集期間:2025年7月20日(日)9:00~定員に達するまで
お申込みにあたり必要事項をご連絡ください。メール、電話、窓口にて承ります。

・タイトル、日時「2025/8/30 特別上映『なつかしき笛や太鼓』&講演会「木下惠介が映画に託した信念—離島教員の手記より」」
・参加者の氏名、よみがな
・電話番号
・学年(高校生以下の場合)
・『木下惠介監督映画「なつかしき笛や太鼓」の舞台裏』 (玉井正明・玉井康之著、北樹出版、2025年) 贈呈抽選にお申込みますか。
・開催を知ったきっかけ

木下惠介記念館(浜松市旧浜松銀行協会)
静岡県浜松市中央区栄町3番地の1 
窓口:9:00~17:00(休館日あり)
TEL:053-457-3450 E-mail:k.m.m@keisukemuseum.org


■ 公共交通機関をご利用ください。お車でお越しの際は近隣の有料駐車場をご利用ください。
■ 浜松駅バスターミナル3番のりばより全路線「鴨江アートセンター」下車。