【終了しました】木下惠介作品上映会 2024年度上半期(2024/4~2024/9)上映特集「喜劇でありえたかもしれない木下映画」

特集「喜劇でありえたかもしれない木下映画」

木下惠介は生涯をかけて49本の映画を製作しました。その中で多くの喜劇を手がけ「コメディの天才」と称されました。一方で、心に響く悲劇も次々と世の中に送り出し、「泣かせの木下」とも言われました。
木下惠介の映画作品において、喜劇と悲劇は紙一重と言われています。観客の笑いを引き出すような喜劇だと思われる作品でも、その時代の風潮や世論を風刺的な演出法で表現する悲劇性が内包されています。逆に、涙が浮かぶ抒情的な作品でも必ずしも悲劇的なテーマを全面的に訴えているわけではなく、希望や期待を持たせる喜劇としての捉え方も見えてきます。
この特集では、木下惠介作品における喜劇と悲劇の違いと同一性、またはその両面性に注目して、喜劇でありえたかもしれない6本の木下惠介作品をお届けします。


©1960 松竹

上映日 4月21日(日)

『春の夢』

1960(昭和35)年、103分、カラー、シネマスコープ

監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:岡田茉莉子、久我美子、小澤栄太郎、荒木道子、東山千栄子、笠智衆

【あらすじ】
社長の邸宅で焼き芋屋のおじいさんが突然脳溢血に襲われて倒れる。応接間にそのまま眠り続けるおじいさんを見舞うと称する隣人たちの来訪によって、この豪邸に隠れていた秘密が明らかになっていく・・・軽いテンポとコミカルな演技で観客の笑いを誘う反面、階級間の対立や家庭内問題に揺れる倫理観を映し出す本作は、タイトルの通りまるで夢のような世界を作り上げている。


©1946 松竹

上映日 5月19日(日)

『わが恋せし乙女』

1946(昭和21)年、75分、モノクロ、スタンダード

監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:原保美、井川邦子、増田順二、東山千栄子、勝見庸太郎、山路義人

【あらすじ】
兄・甚吾と妹・美子は仲睦まじいが、二人は血が繋がっていない。戦争から無事に帰ってきた甚吾は、美子に妹以上の想いを寄せるが、美子には既に相思相愛の恋人がいた・・・牧歌的な農村を舞台に、男女や兄弟の関係をめぐる葛藤が詩的な演出で綴られた木下惠介初の本格ロマンス。実弟・木下忠司が本作で映画音楽家としてデビューした。

1946年度キネマ旬報ベスト・テン第5位


©1949 松竹

上映日 6月16日(日)

『破れ太鼓』

1949(昭和24)年、109分、モノクロ、スタンダード

監督:木下惠介/脚本:木下惠介、小林正樹/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:阪東妻三郎、森雅之、桂木洋子、小林トシ子、木下忠司、村瀬幸子

【あらすじ】
津田家の主人・軍平は独裁的で、隷属する家族は逆らうことができず、皆閉口しきっている。やがて長男の家出を皮切りに、家族が続々と家から逃げ出していく。一方、軍平の会社は倒産の状況に・・・コメディ、メロドラマ、ミュージカルなど多種多様なジャンルを混ぜながら、家族のあり方や戦後の民主主義と家父長制の関係性を問う木下惠介の野心作。

1949年度キネマ旬報ベスト・テン第4位


©1956 松竹

上映日 7月21日(日)

『夕やけ雲』

1956(昭和31)年、78分、モノクロ、スタンダード

監督:木下惠介/脚本:楠田芳子/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:田中晋二、望月優子、久我美子、東野英治郎、田村高廣、山田五十鈴

【あらすじ】
下町の魚屋育ちの青年・洋一は、両親と兄弟の七人家族で細々と暮していた。洋一は船乗りに憧れているが、父が心臓病で倒れたことにより、家庭内の問題が一気に噴出した・・・夢と現実の距離、そして諦念の美学を日常の生活で巧みに表現する下町の青春物語。実妹・楠田芳子がオリジナル脚本を担当した唯一の木下作品。2024年、楠田芳子は生誕100周年を迎える。


©1948 松竹

上映日 8月18日(日)

『肖像』

1948(昭和23)年、73分、モノクロ、スタンダード

監督:木下惠介/脚本:黒澤明/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:井川邦子、三宅邦子、三浦光子、菅井一郎、東山千栄子、佐田啓二

【あらすじ】
不動産屋の金子は、購入した家に住んでいた貧乏画家の一家を追い出すために、妾のミドリと父娘を装いその家に住み始めた。ある日ミドリは画家に肖像画のモデルを頼まれる・・・現実味を緻密に表現し、木下映画の中心テーマ「真善美」を謳歌する傑作。日本映画を代表する2大巨匠の木下惠介と黒澤明による最初で最後のコラボレーション作品。

第3回毎日映画コンクール監督賞


©1947 松竹

上映日 9月15日(日)

『結婚』

1947(昭和22)年、86分、モノクロ、スタンダード

監督・原作:木下惠介/脚色:新藤兼人/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:田中絹代、上原謙、東野英治郎、東山千栄子、井川邦子、鈴木彰三

【あらすじ】
文江と積は相思相愛だが、文江は失業した父と家族を養うため、なかなか結婚ができない。一方、積の母親の唯一の楽しみは積の結婚だった。ある日、故郷からその母の危篤を知らせる電報が来た・・・戦後の厳しい世相に苦しむ恋人同士の戸惑いを描く社会派メロドラマ。お見合い結婚が主流だった終戦直後の時代に、自由恋愛による結婚に憧れる若者の共感を得て成功を収めた。


【開催情報】
上映日:各月第3日曜日
上映開始時刻:①10:00~(9:30開場)②14:00~(13:30開場)
会場:木下惠介記念館・アートホール
入場料:100円
対象:小学生以上
主催:木下惠介記念館 (浜松市旧浜松銀行協会)
お申し込み:不要。当日受付のみ。上映1時間前より受付開始します。


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■ 浜松駅バスターミナル3番のりばより全路線「鴨江アートセンター」下車。