【終了しました】2023/12/03(日)日中映画国際シンポジウム「風雨同舟—日中映画交流の過去、現在、そして未来に向かって」
2023年、静岡県が「東アジア文化都市」として選定されたことを受け、日中両国の映画研究者や映画作家、映画祭関係者等のゲストを迎え、多角的な視点で日中映画国際シンポジウムを開催します。
昨年、日本と中国は国交正常化から50周年を迎えました。この間、日中両国には時に政治や経済の領域で緊張感が生じることもありましたが、文化・芸術の分野では様々な形で絶えず交流を続けてきました。近年の新型コロナウイルスの流行により人々の移動が制限され、相互の理解が薄らいでいる今だからこそ、映画という媒介を通じて、日中両国が風雨同舟(同じ舟に乗って激しい嵐を乗り越えること)を意識する必要があります。
上映、トーク、テーマ講演、パネルディスカッションなど多彩なプログラムで構成する交流の場として、本シンポジウムが日中の文化交流に新たな風を送り、さらなる広がりを持つ機会になることを願います。
【開催概要】
日時:2023年12月3日(日)13:15~17:30(12:45開場)
会場:木下惠介記念館・アートホール
対象:中学生以上
定員:50名(先着順)
参加料:1,100 円(一般)、550 円(学生)
主催:一般社団法人浜松創造都市協議会
協力:東アジア文化都市2023静岡県地域連携プログラム
※学生料金の方は、受付の際に学生証をご提示ください。
※あわせて木下惠介記念館の展示もご覧いただけます。
【プログラム】
13:15 開会
第一部 上映会&アフタートーク
13:20~14:10 上映会『異郷人』
14:10~14:50 アフタートーク
・トークゲスト:柴 波(本作監督)、秋山珠子(神奈川大学外国語学部中国語学科 准教授)
・聞き手:戴 周杰(木下惠介記念館 担当キュレーター)
第二部 テーマ講演
15:00~15:20 ➀「異郷に生きて——移動と故郷喪失の近代」
・講師:韓 燕麗(東京大学大学院総合文化研究科 教授)
15:20~15:40 ②「満州映画協会と日中の映画人」
・講師:上田 学(神戸学院大学人文学部人文学科 准教授)
15:40~16:00 ③「国際映画祭の現場から見る日中映画交流の最新事情」
・講師:徐 昊辰(上海国際映画祭プログラマー、映画ジャーナリスト)
第三部 パネルディスカッション
16:10~17:25 テーマ「日中映画交流の課題と未来―我々は新たな風を吹かせられるのか?」
・パネリスト:秋山珠子、韓 燕麗、上田 学、徐 昊辰
・進行役:戴 周杰
17:30 閉会
【上映作品】
『異郷人』
監督:柴 波|2019年|日本・中国|45分
出演:柴 波、曹 樹倹、柴 居堂、王 富宇、柴 彦威、中田晴大、佐野 充
日本で生まれ、中国で育った女性が、再び日本の大学院に留学。日本留学中に「故郷」をテーマに写真創作活動を行い、父親の故郷・中国甘粛省の田舎へと旅に出る。蘇る記憶と現実の世界が交錯する旅の中で、彼女は自分自身にとって最も重要なものを見つけようとした。広島生まれ北京育ちの映画作家・柴波氏が日中両国の間で揺れる自分自身のアイデンティティーを探り出そうとするデビュー作。
【登壇者プロフィール】(登壇順)
柴 波(さい なみ)
映画作家。広島県広島市生まれ。3歳まで広島で育ったのち、家族で北京に移住。2013年、北京電影学院映画脚本専攻卒業。その後、香港浸会大学映画製作専攻修士課程に進学したが、2年で中退。2017年、日本大学大学院芸術研究科映画製作専攻に入学。2019年に修了作品『異郷人』を製作後、同大学研究員として1年間ドキュメンタリー『広島生まれ』を製作。参加した作品は映画『柳川』(監督:張律)日本部分の現場プロデューサー、NHK番組『突撃!ストリートシェフ@四川・成都』のディレクターなど。現在は北京大学芸術学院で芸術学理論博士後期課程に在籍中。
秋山珠子(あきやま たまこ)
神奈川大学外国語学部中国語学科 准教授。映画・美術・思想がクロス・オーバーする領域を研究テーマとし、1990年代初めより、山形国際ドキュメンタリー映画祭、アヴァンギャルド・チャイナ展など、中国インディペンデント・アートの最前線を伝えるさまざまな事業に関わる。共同責任編集(中英語)に『華語独立影像観察』1、2021年(特集=現代日本と中国インディペンデント映画のコネクション(1989–2020))、共著(英語)に『翻訳と伝播における中国語映画』 (ラウトレッジ、2021年) 、訳書に『侯孝賢の映画講義』(侯孝賢著、みすず書房、2021年)、字幕翻訳に『鉄西区』(共訳、王兵監督、2003年)など。
韓 燕麗(かん えんれい)
東京大学大学院総合文化研究科 教授。2006年京都大学にて博士号取得、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は中国語圏映画、表象文化論。著書に『ナショナル・シネマの彼方にて――中国系移民の映画とナショナル・アイデンティティ』(2014)、共著に『男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望』(2004)、Cultural Politics around East Asian Cinema(2019)などがある。
上田 学(うえだ まなぶ)
神戸学院大学人文学部人文学科 准教授。専門は映画史・映像学。ノン・フィルム資料を中心とした観客論、受容論の視点から、日本映画史の比較文化研究に取り組んでいる。単著に『日本映画草創期の興行と観客 東京と京都を中心に』(早稲田大学出版部、2012)、共著に『新派映画の系譜学 クロスメディアとしての〈新派〉』(共編著、森話社、2023)、The Japanese Cinema Book(分担執筆、BFI、2020)、The Culture of the Sound Image in Prewar Japan(分担執筆、Amsterdam University Press、2020)、『スクリーン・スタディーズ デジタル時代の映像/メディア経験』(分担執筆、東京大学出版会、2019)など。
徐 昊辰(じょ こうしん)
上海国際映画祭プログラマー、映画ジャーナリスト。1988年中国・上海生まれ、2007年来日、立命館大学卒業。2008年から中国の映画専門誌「看電影」「電影世界」、ポータルサイトSINA、SOHUなどで、日本映画の批評と産業分析を続々発表。2016年から、北京電影学院に論文「ゼロ年代の日本映画~平穏な変革」などを不定期発表。中国最大のSNS、微博(ウェイボー)のフォロワー数は約270万人。WEB番組「活弁シネマ倶楽部」の企画・プロデューサー。映画.comコラム「どうなってるの?中国映画市場」連載中。2020年から上海国際映画祭・プログラマーに就任、日本映画の選考を担当。
進行役:戴 周杰(たい しゅうき)
木下惠介記念館 担当キュレーター。1993年中国湖南省生まれ。2015年北京電影学院広告監督専攻卒業後、来日。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了後、東京都写真美術館映像部門インターンおよび第12回恵比寿映像祭アシスタントを経て、2020年4月より木下惠介記念館・浜松市鴨江アートセンターに勤務。上映プログラムや映画資料展覧会の企画、映像系ワークショップを担当。
【申込方法】
申込期間:2023年10月20日(金)9:00~定員に達するまで
メール、電話、窓口にて承ります。メールでの申込みの場合、下記必要事項を記入願います。
・日中映画国際シンポジウム「風雨同舟―日中映画交流の過去、現在、そして未来に向かって」参加申込
・参加者の氏名、よみがな
・電話番号
・所属(学生の場合)
・開催を知ったきっかけ
木下惠介記念館(浜松市旧浜松銀行協会)
〒432-8025 静岡県浜松市中区栄町3番地の1
窓口:9:00~17:00
Tel:053-457-3450 E-mail:k.m.m@keisukemuseum.org
・会場内の写真が木下惠介記念館のウェブサイト等に掲載されることがあります。
木下惠介記念館×静岡文化芸術大学図書館・情報センター
コラボレーション企画展示
当館が立地する静岡県浜松市にある、公立大学法人静岡文化芸術大学(SUAC)は2013年3月、静活株式会社(静活)から映画雑誌53タイトル約3,500冊、映画パンフレット約1,400冊、脚本277冊、図書約50冊、合計約5,000冊の映画関係資料の寄贈を受けました。それにより、SUAC図書館・情報センターは、公立大学の図書館としては珍しく映画関係資料のコレクションが充実し、映画資料館としての特徴を持つようになりました。
本コラボレーション企画は、12月3日(日)当館にて開催する、日中映画国際シンポジウム「風雨同舟—日中映画交流の過去、現在、そして未来に向かって」に合わせて、木下惠介記念館会場では、SUAC図書館・情報センターよりお貸出いただいたシンポジウム登壇者らの著書、および静活からの寄贈映画資料のうち、中国や中華圏映画のパンフレットを展示し、SUAC図書館・情報センター会場では、所蔵された日中両国の映画チラシ、および日中映画の関連書籍を展示します。
【木下惠介記念館会場】
・展示期間:2023年11月30日(木)~12月17日(日)※休館日:12月4日(月)、12月11日(月)
・展示場所:木下惠介記念館 1階ロビー
【静岡文化芸術大学図書館・情報センター会場】
・展示期間:2023年12月1日(金)~12月18日(月)※休館日:12月3日(日)、12月10日(日)、12月17日(日)
・展示場所:図書館・情報センター 2階西エリア